読書:「お金が教えてくれること」 家入一真

著者は1978年、福岡県生まれ。

29歳でレンタルサーバー「ロリポップ」を成功させ、
その後も多方面での事業、
最近ではECサービス「BASE」を共同創業もしている。

会社の成功で大金も手にし、また会社を離れては作りをくり返し、
お金の魔力に溺れ、底をつく経験もしたことがある著者だからこそ
いろんな乱高下、天国と地獄を体験して血肉となり培われた
今の時代に今のセンスにあう、説得力のある内容だった。

印象的なメッセージのみ抜粋
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お金はあるに越したことはないけれど、そこを求めてがむしゃらに働くことが幸せではない。むしろ、お金があっても不幸な人もいっぱいいるということに、若い子たちが気づいてしまった。彼らにとっての幸せは、例えば社会貢献だったり、自分の家族との時間だったり、自分の時間だったり、そういったものを大事にすること。

僕は最近社員に、昼だけの顔じゃなく、夜の顔や土日の顔などたくさんの顔を作ろうという話をしている。顔をつくるというのは、会社からだけで収入を得るんじゃなく、自ら複数の違う収入を得る顔を持ちましょうということ。会社も社員も、依存するのも、されるのもいけない。人は簡単に依存する。依存は思考停止だ。

みんなに会社をやめて起業しろと言ってるわけではない。今の場所にとどまるのも選択肢の一つ。そこで、自己実現するか、会社に勤めながらでも、自分のやりたいことはできるよね。飲み会など愚痴・ストレス・付き合いのために、無駄な時間とお金を使うなら、動き始めたほうがいい。「何もしない」ことは、もはやリスクでしかない。

自分のなかにまだまだやるぞという気持ちがあれば、どんな経験も明日につながる。もとは毛沢東が唱えたと言われる「革命の3原則」っていうのがある。「貧乏であれ」「若くあれ」「無名であれ」。新しいことをする、新しいものを作り出すには貧乏・若い・無名であることがパワーになるんだよね。
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この抜粋が、劇薬になるのか、特効薬になるのか。

すっと入ってくるのか、ひっかかりやしこりが残るのか、
はたまた受け付けないか。

人それぞれだろう、とは思う。

ただ、少なくとも自分は共感している。

 

読書:「直感力」 羽生善治

プロ将棋棋士の羽生善治さんの本。

過去の『大局観』『決断力』という本もおもしろい。
今回は『直感力』という視点から、将棋の世界にとどまらない良書。

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直感とは何もないところから湧き出てくるものではない。
考えて考えて模索した経験を蓄積したプロセスのなかから
瞬間的であれ取捨選択からうまれた論理的思考。
だからなぜそれを選んだのかを説明できるものである。

直感を磨くとは、日々の生活のうちにさまざまのことを経験しながら、
多様な価値観をもち、幅広い選択を現実的に可能にすること。
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野球選手でもサッカー選手でもそうだけれど
とある世界のプロや一流と言われる人たちが書いた本は、奥が深い。

それまでその人が経験してきた、
一言で言ってしまっては失礼になるかもしれないが、
いろんな苦労や挫折、そこから這い上がってきた過程、
よりもっとと高みを目指す志、
そういうものが言葉の血肉となって表現されている。

だから、その世界に自分が精通していようとそうでなかろうと
いろんな人の心に響く言葉になるんだろう、と思う。

ビジネス書や自己啓発本に書かれている普遍的なことが
リアルな実体験をもとに書かれていることも多い。

もちろん本著も将棋の世界を中心に書かれているけれど
「将棋の世界だけの話ね」とは決して思わない叡智と説得力がある。

もし、いきなり小難しいビジネス書には手を出しにくいという人がいたら
自分の好きな著名人や選手、好きな世界の人が書いた本を
手にとって読んでみるといいかもしれない。

親近感や好意的な思いからか、案外すーっと入ってくるかもしれない。
そしてとっておきのエピソードに出会えるかもしれない。

小学校の頃は、将棋していたんだけどなあ。
将棋崩しのほうが得意だったけど!?

あれはあれで結構燃えて遊んだものです。
ほんの少しの集中力と負けん気は鍛わるかと思います。

 

読書:「すごい会議 ワークブック 2013」 大橋禅太郎

遡ること5年以上前。
会社のすべての会議に「すごい会議」という方式を導入した。

これを見つけてきた、また導入しようと決断した社長をはじめ上層部は
今思い返してもほんとにすごいなあと思う。

実際に講師の先生も招いて、約1年間 月1-2回の研修会議も受けた。
その講義が終了してから、いよいよ自分たちで「すごい会議」方式を取り入れた。

一言で言えば、吸収して実践するには非常に難しいというか、
一見わかりやすいのだけれど、とても奥が深いこの方式。

特に、コーチングなどの要素もあるため、誰が進行役かで
会議の是非もプロセスも導き出されるコミットメントも変わってくる。

何十回と積み重ねた会議方式だけれど
進行役だった時は特に毎回反省、そんな会議方式だった。

最近、この会議のワークブックが発売されたということで。
思い出すことも多い。

過去関連本が2冊程出ているけれど、
本著はワークブックということだけあって
このまま、順にページをめくりながら、
「すごい会議」が実践できるようになっている。

説明や注釈もその箇所箇所に書かれているので、より実践的。

・戦略的フォーカスやコミットメントという定義
・5秒で出した答えも、30分以上考えて出した答えも86%以上同じ
・問題点を『どのようにすれば~?』という質問文に言い換えることのメリット
・バームクーヘン 役割
・書いてから発表することのメリット

こんなキーワードを本著を読みながら思い返した。

ほかにもたくさんある。
本当に知れば知るほど、実践すれば実践するほどに、奥が深いから。
あまり本の内容を転載したらいけないので、少しだけ。

おそらく5年近くこの考え方を吸収して染みついているところもある。

環境が変われど、メンバーが変われど、
また自分だけのひとり会議としても
これからも活用していける場面はあるんじゃないかなと思う。

目標や目的を共有してチームとして進んでいく会社やプロジェクト。
それだけじゃない。
目標や目的を共有した仲間と、友達と。
将来を思い描く家族と。

この「すごい会議」方式を使って、
“すごい未来”を手に入れることができるか。
そのカギを握っているのは、誰ですか?

と、最後の一文も、
これまた懐かしいこの会議方式のヒトコマから引用してみた。

 

読書:「佐藤可士和さん、仕事って楽しいですか?」 佐藤可士和

アートディレクター クリエイティブディレクター として有名な
佐藤可士和さん。

学生からの質問に答えるという連載をまとめたもの。
アートディレクター受講生の質疑応答という形式なので
専門的な内容もあるけれど、多岐な分野にわたり、
その回答もとても丁寧でわかりやすい。

そんな中で一番印象に残ったページ。
月に何冊くらい本を読みますか? という質問に対しての回答。

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僕にとって本というのは“視点を与えてくれるもの”。
本には一冊ごとに、ネット上の情報にはない「目次」があり、
著者の視点、そして思考の流れがわかるようになっている。

本は出会い。全部面白いということはありません。
タイミングにも左右されます。
同じ本でも、読んだときの年齢や、自分の置かれた状況によって全然違うものになる。
自分の状況と本の内容がバチっと合うと、それはその人にとって特別な一冊になる。
そういう出会いをするためには、やっぱりたくさん読むしかないんです。

読書は、音楽を聴いたり、映画を見たり、釣りをしたりするのと同じ、
体験のひとつととらえています。
だから、特定のデザインに直接影響を与えているということはないけれど、
深いところで、クリエイティブの思考に大きな影響を与えていると思います。
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その通りだなあ、と思う。
ここまで本を読むということを、読書のすすめを、
わかりやすく表現しているのをあまり見たことがない。

読んだほうがいいのはわかってるんだけど、こういう回答をされると
どんな人でも、ちょっとなにか手にとってみようかな、
本屋にでも言ってみようかなと思うんじゃないかなあ。

「出会い」「タイミング」「特別な一冊」「体験」というキーワードが
どんな人にも当てはまる日常生活からのキーワードになっている、
と思う。

読書:「あなたの夢を現実化させる 成功の9ステップ」 ジェームス・スキナー

500ページにおよぶ濃厚な本。
ビジネス書で文庫化されるというのは、ある種ロングセラーの証拠。

『第3の鍵』とか『7つの習慣』とかの良書と同じ類。

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パーソナルパワーの四つの基礎
ステップ1:心を決める。(決断)
ステップ2:成功者のパターンを学ぶ。(学習)
ステップ3:無限健康を手に入れる。(健康)
ステップ4:自分の感情をコントロールする。(感情)

成功のサイクル
ステップ5:望む結果を明確にする。(目的)
ステップ6:時間を管理する。(計画)
ステップ7:思い切った行動を取る。(行動)
ステップ8:アプローチを改善させる。(改善)

リーダーシップのテコ効果
ステップ9:ほかの人を自分の夢に参加させる。(リーダーシップ)
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これをそれぞれ項目ごとに章が書かれている。

そんなに小難しくはないし、
誰が手にとっても共感や新たな発見はあると思う。

ビジネスにおいてだけではなく、
人生や生活の広義について書かれている。

またこんなのもある。

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ビジネスにおける問題解決の質問 ※抜粋
・顧客を完全に喜ばせるために何ができるだろうか。
・どうすれば単に注文をとるだけでなく、顧客との新しい関係が築けるだろうか。
・どうしたらこの状況を楽しむことができるだろうか。
・どのようにすればこの出来事を誇らしげに自分の子供たちに話せるようになるだろうか。
・このプロセスをどうすればもっと簡素化できるか。
・どのようにこれをシステム化し、つねに同じ質の高い結果が出せるようにするのか。
・さらにいろんな資源にアクセスし、もっと大きなスケールで行動するために、どうするか。
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こんなのもある。
週間の目標設定シートもあって、
おもしろかったのは一番最初にくるのが
「今週感じたい気持ち」だったこと。

ここに“達成感 バイタリティー 幸せ 愛 自由 暖かさ バランス 完成”などを入れて
そこから次のステップの「望む結果目標」や「活動計画」を立てていく。

特に、“感情”というものが、人の結果や行動に与える影響が大きいと位置づけているのもおもしろい。

 

ヘタな!?ビジネス書や自己啓発書を部分的に読むくらいなら
ほぼすべてが、原理原則が、王道が、網羅されているこの本を
何回も何回も、ことある機会に読み返し、
吸収していったほうがより効果的なくらい。

ちょっと500ページの格闘は骨が折れるけど
一度読んでしまえば、次からはセンテンスごとに集中して読める。

全体像を把握しているので、理解度もより早く深くなる。
3ヶ月後にまた読もうと決めている。

この本の内容が、頭で体で行動で、理解して吸収して実践できたら、
かなり充実するだろうことがわかるから。
ぜひ根気強く少しずつでも読んでほしい本。