1円と、デフレと、価値と、ヒト。

たまにヤフオクで1円出品なるものを
することがある。

理由は、

  • 競売率が上がる
  • 多くの人の目につく
  • 在庫を回転させたい
  • 現金化したい

などいろいろある。

 

そして、不幸中の不幸で、
1円でそのまま落札されることもある。

それはいい。
そのリクスは前提条件なので。

するとたまに、数ヶ月に1度、数十回に1度、
不思議なことが起こる。

 

落札者さんに連絡をとる。
金額、配送方法、入金方法、これこれと。

落札者さんが、
本来の取引金額(商品代+送料)よりも、
少し多いお金を支払っている。

そしてこれはミスではない。

 

落札者さんいわく、
1円で落札したのはうれしいが、なんだか申し訳ないので、
気持ちばかり多くお金を払います。

つまり任意で、金額を上乗せしてくれている。

数百円程度かもしれないが、
その心遣いがなんともありがたい。

 

これはおそらく日本だけじゃないかな。
こういう感覚も、こういうことをする人も。

海外なんて、どの国も一般的に、
安く買えてなんぼなので、

わざわざ安く買えたものに、
多くお金を払うことなんて考えられない。

儲けモン と思うかどうかはわからないが、
安く買えたこともまたシビアに売買成立なわけで、

安く買えてしまって心苦しい、申し訳ない、なんて、
おそらく日本人だけだろう。

 

現に、海外から仕入れるときに、
ディスカウントは当たり前であるし(交渉すること自体が)、

旅行に行っても、
値札どおりの値段ですんなりお金を払うのは
日本人くらいなものとも言われている。

つまり「ディスカウント」という行為に対して、
正当な交渉という前提条件な感覚をもっているか、
なんだか卑しい、自分はできないと尻込みするお国柄か。

価値観によって、
その行動は大きく変わってくるということになる。

 

話が脱線してしまった。

そういう落札者さんとは、
やりとりのなかで会話がはずむこともしばしば。

世間話やお互いの住んでいる土地にちなんだ話など。

旅行したことがあります、昔住んでました、とか。

 

でもなー、

デフレ脱却路線の今。

日本も安い、お値打ちの買い物は定着している。

でもなー、

安く買って申し訳ないという国民心理も持っている。

うーん、

そこには、商品そのものの価値や価格の先に、
販売者や生産者が見えているかいないのか、

そういうことなのかな。

スーパーのセールで、「ありがとう」と店員にお礼は言わない。
でも町の八百屋で値引きしてくれたらすごく感謝してお礼を言う。

そういう対面というか、対面じゃないにしても、
「対人(タイ、ヒト)」がその先に映っているかどうか。

いろいろなヒントがあるような気がする。

 

PS.
落札者さんに多くいただいたお金を、
いかに使うか。

わざわざ口座からおろしてまではないけれど、
そのお金でちょっとした食べ物がコンビニでも買える。

ビール1本でも、アイスクリームでも、おにぎりでも。

そして、その人のおかげで、
これを今食べていると思えるとすごく幸せな気分になれる。

小さな幸せとは、
小さな感謝をするところから始まるのだと思う。