読書:「棒を振る人生」 佐渡裕

指揮者の佐渡裕さん。

日本の指揮者のなかでは、小澤征爾さんなどにつづき、
一般的にも有名なほうだと思う。

最近日常の音楽がクラシックづいてるのもあって、
興味を持った本。

 

副題がかっこいい。
「指揮者は時間を彫刻する」

これは佐渡裕さんの言葉ではなく、過去の名指揮者の言葉から、
引用したと本著にも書いてある。

時間軸のうえで成り立つ音楽。

時間が流れないと、音・音符が流れることもなく、
旋律がうまれないわけだから、、時間軸という意味。

絵画は逆に時間をとめても眺めることができる。

音楽を切り取ったり、瞬間的にとめて、
それを味わうことはできない。

 

それはいいとして、

それをふまえて「時間を彫刻する」という言葉に、
重みとかっこよさがあるというわけ。

 

著者のこれまでの経験をふまえた
音楽や指揮者の話。

ある程度クラシック音楽や指揮者がわかるなら、
イメージしやすく楽しんで読める。

指揮者の役割、指揮者のお仕事。
ステージ上のことから、裏方なところまで。

いろいろな側面を知ることができる。

 

具体的なクラシック音楽の名曲や名盤の紹介、
世界的オーケストラの特徴や比較。

そういったガイド本ではないので、
音楽知識としての幅は広がらないかもしれない。

そのかわり、指揮者のことはもちろんながら、
「音楽を言葉で表現する」ことがつまっている。

曲やフレーズの説明、感じたこと、
感動の表現、体験の表現。

そういったことが伝わってきて、
イメージをふくらませる。

文字や言葉を、
音やイメージに変換しながら読む時間。

佐渡裕 棒を振る人生