経験のものさし

プロ将棋棋士の羽生善治さんの本にこんなことが書いてあった。

『不調を乗り越えるための「経験のものさし」』
経験のものさしとは、何かをマスターするためにかかった時間の定規。

勉強・語学・受験・スポーツ・楽器・免許・資格・仕事内容など、
「自分は◯◯を習得するのに◯◯時間(日/年etc)かかった」
時間と労力と情熱を注いだらこのくらいのことができるようになった、
という自分自身の学びや経験からくるものさしがある、と。

それがあるから、
何か新しいことにチャレンジしようとしたときに、
何かうまくいかないときに、
その時間や労力や情熱への不安に耐えられるようになる。

「経験のものさし」が焦らずに進んでいくための武器になる。
「経験のものさし」が努力の見込み、
つまり成果が出るようになるまでに必要な努力の量と質を見極める力を自分に与えてくれる。

「経験のものさし」の種類が豊富であればあるほど、
自信をもって進むことができる。

とてもいい導きの言葉だと思う。

 

誰しも生きてきた年数と時間だけ、経験してきた量と質だけ、
「経験のものさし」が蓄積されている。
ない人は、いない。

年齢を重ねるごとに、これを磨くことによって、
瞬間的な焦りや不安は払拭できていく、
ようになるんだと思う。

自分に置き換えてもそうだし、
周りの若い人を見渡してもそうかもしれないが
若い頃に一見安易な無謀な目標を立てたり、
焦りや不安が多く悩んでしまうのは、
この「経験のものさし」を持ち合わせていないか、まだ少ないか。

もし、自分の経験のものさしがわからない、という人は、
生まれてからこれまでの、自分年表をおさらいしてみる。

今◯◯が当たり前のようにできるのも、
今◯◯をした経験が生きているのも、
こんなことではへこたれないよ、◯◯に比べたら・・・と思えるのも、

自分年表を紐解いたなかに、
その“◯◯”という「経験のものさし」があったから。

何か長期的な目標を立てようとしたとき、
今やっていることが途方もない過程なとき、
「いやいや、◯◯もこれだけの時間がかかったじゃないか!」
何事もすぐに成果を出せてしまう特効薬なんてない。

 

こういう手法と考え方をうまく使って、

自分に自信をつけることができる
自分を承認することができる
今立ちはだかる壁に立ち向かおうとすることができる
他人が壁に当たっているときに、自分の「経験のものさし」から理解してあげることができる
他人が壁に当たっているときに、自分の「経験のものさし」の体験談により励ますことができる

などなど。

種類も長さも豊富な、
自分ならではの「経験のものさし」をつくっていこう。