読書:「怒り」 吉田修一

好きな作家のひとり、吉田修一。

映画化されている作品も多い。

その著者のわりと新しい長編小説「怒り」

 

そしてこの読書のさなか
ちょっとした事件も起こった。

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カバーと中身が違う!

 

まずは上巻だけを中古通販で買ったのだけれど、
思いのほかすらすら読めてしまった。

ストーリーの先も気になるから、
すぐに下巻をこれまた中古通販にて購入。

 

届いてから数日後、
この日に読破しようと決めて臨む。

ページをめくると、
なんか見たことある文章。

ああ、下巻のはじまりだから、
また上巻冒頭のプロローグをなぞっているのか・・・

くらいに読み進めようと思ったけれど、
めくれどめくれど同じ内容が繰り返される。

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あわててハードカバーの装丁を外してみる。

なんとカバーは下巻だったのだけれど、
中身の本自体は上巻だったのだ。

 

これぞまさに “怒り” 心頭。

すっかり腰を折られてしまった。

 

後日談としては、
きちんとクレームを申し立て返金してもらった。

簡潔な文章と、上の証拠写真を添えていたので、
先方の対応は早かった。

交換には時間がかかるので、
別の中古通販ショップから購入。

この不良品は返送不要ですとあったので、
ショップのご要望どおり処分。

おかげて読もうと思ってから
数日空白になってしまった。

 

本の内容としては、
好きな作家でもあるしハズレはない。

疑わしき容疑者たち、リアルな登場人物たち。

いろいろな人間像や、いろいろな社会が垣間見れて、
おもしろいだけでなく視野も広がり懐も深くなる思い。

すこし重い小説ではあったけれど、
この人の登場人物たちにはわかりやすい正義や悪はない。
そのどちらもが混在し、顔をのぞかせる。

 

小説「怒り」に関して言えば、
人を信じることの尊さ、人を信じることの難しさ。

疑う、信じたい。
疑う自分に嫌気がさし、
信じたい自分に疲弊する。

疑ったことで、信じられなかったことで、
人間関係は歯車が狂いだし、
それまでの穏やかな生活から急変していく。

当事者たちすべてが苦しみもがき、手を伸ばす。
失ったものもあれば、そこには新しい世界もある。

ここに軸が置かれて展開している。

 

この小説は、
これまた映画化が決まっている。

同著者の小説「悪人」が
妻夫木聡・深津絵里で映画化されたけれど、

その作品と同監督がこれまたメガホンをとる。

2016年公開予定で、出演者などはまだ未定とのこと。

いろいろな意味で楽しみである。

 

映画「悪人」も原作にある程度忠実なものだった。

もちろん原作には敵わないが、
読み手の想像イメージができあがってしまうから、
そこはしょうがない。

 

そういえば先日は、
「愛に乱暴」 / 吉田修一 も読んだところだった。

「さよなら渓谷」のような夫婦劇。

 

それにしても、

  • パレード
  • 悪人
  • さよなら渓谷
  • 平成猿蟹合戦図
  • 7月24日通り
  • 東京湾景

映画化/TVドラマ化されている作品は多い。

それだけ、
どこにでもありそうな日常と、
どこにでもいそうな登場人物、
それらが紡ぎだす物語。

いい意味で映像化しやすい魅力なのだと思う。

観客たちがその世界に入り込めやすいという点でも。

怒り 吉田修一

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