経営者を模擬体験してみる

「ビジネス発想源」という人気メルマガがあります。
ビジネスにおける視点や考え方がとても参考になります。

もう5年以上購読(無料です)していますが、
そのなかから昔のとある記事を振り返っていて見つけました。

そのままご紹介します。

 

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「経営者って自分の好きなように仕事ができるからいいですね」

と、サラリーマンはよく独立している人に対して
羨ましいと言います。
もちろん、
それが経営者や個人事業主のやり甲斐でもありますが、
逆にそれが過酷でもあります。

自分の言動全てが、会社の運命にかかってきます。
会社の運命に関わることは全て従業員の運命に関わり、
最後に自分の生活の運命にかかってきます。
自分の言動全てが会社の運命にかかるとはどういうことか。
会社員をやめて事務所を構えて独立したとします。

昼食の時間になって、40分の休憩を取って昼食を取るのと、
45分の休憩を取って昼食を取るのとでは、全然違います。

5分長めに休憩に充てるということは、
自分が事務所経営に充てる時間が5分短くなるので、
それだけ経営に対してできたことができなくなる、
ということなのです。

その5分間でできるはずのことだったことができないことで、
それだけの利益が先送りになってしまいます。

利益の確保が先送りになっても、全ての支払は待ってくれません。
やがて先送りしてきたものが蓄積してくると、
事務所の家賃も払えないぐらい大変になってきます。

自分の時間の1分1秒が、全部会社の業績に反映してくるのです。
また、事業計画書や企画書をパソコンで作っていて、
20枚印刷したけれど全て失敗してしまったので、
また新たに20枚を印刷するとします。

すると20枚の紙が無駄になってしまうわけですが、
その20枚の用紙のコストは、全部事務所にかかってきます。

20枚というと大したことがないと思うかもしれませんが、
20枚を無駄にする人は、長く計算すると何千枚も無駄にします。

でもコピー用紙はタダではないのです。
そして、特に東京では地代が高いですから、
コピー用紙を大量に保管しておく場所を確保するも、
家賃から計算するとかなり保管料がかかっていることになります。
全ての言動に、あらゆる損失やコストがかかってくる。

これが「好きなように仕事ができていいですね」という
その仕事の、大きなリスクです。

そういう大きなリスクの刃を首筋に当てられながら、
経営者や個人事業主は仕事をしているのです。

 

サラリーマンは、そのようなリスクを感じることはありません。

例えば、ランチタイムを5分長く取ったから、
企画書作成の印刷に失敗してコピー用紙を20枚無駄にしたから、
といって給料が下がるわけでもないし、
解雇されるわけでもない。

ものすごく恵まれた環境にいるわけです。
なぜ、それだけものすごく恵まれた環境にいるか。

それは、自分の会社の経営者が、
その恵まれた環境を作るためにリスクを全部背負っているからです。

「社長は好きなことばっかりやって、
社員の我々に苦労ばかりさせて何も考えていない」

などと愚痴を言っている会社員をよく見ますが、
社長はそんな社員たちの言動のリスクを全て背負っているのです。

5分休んでも何ともない、用紙を多少無駄にしても何ともない、
そんな楽園を作るために経営力でカバーしているのです。

そのプレッシャーたるや、
「給料が下がるかもしれない」「クビになるかもしれない」
という程度の会社員のプレッシャーとは
比べ物にならないぐらい大きいのです。
もちろん、会社員にそのリスクを分かち合え、
という話ではありません。

そのリスクを負うのが、経営者の仕事であり本分です。

会社員は逆に、そのリスクを経営者に背負ってもらった代わりに、
会社に対して何をしなければならないかを意識しながら
仕事をしなければならないということです。

陰で社長の愚痴を言っている場合ではないのです。

 

自分の名刺は、1枚につきどれだけコストがかかっていますか。

企画書をプリンターで印刷した時に、その用紙代、トナー代、
ホチキス代、全部合わせてコストはいくらかかっていますか。

自分が座っている席の机や椅子はどれだけの値段で購入され、
事務所の家賃からするとその机の場所代はいくらになりますか。

自分がオフィスのゴミ箱にゴミを捨てた時に、それを収集して
事業系ゴミとして出すのにどれぐらいコストがかかりますか。

トイレを一回使ったら、どれぐらいの水やトイレットペーパーを
使い、光熱費や清掃費にどれぐらいのコストがかかりますか。
そんなこと、普通の会社員は考えませんよね。

会社員がそんなことを考えなくてもいいように
そのコストを全部、自分ではない誰かが背負っているのです。
会社員の皆さんは、それを忘れてはいけません。

今、ものすごく恵まれた環境で仕事をさせてもらっているのです。

恵まれた環境でパワーを発揮できないのは、
会社のせいでも社会のせいでもない、自分のせいです。

自分は誰かに、リスクを10倍以上軽減させてもらっています。
だからそれに応えるべく、最高の仕事を成し遂げていきましょう。

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会社には、気づかないだけで、
いろいろなソースが提供されています。

「ヒト」「モノ」「カネ」
これを組織のなかで自由に使うことができます。

言い換えれば、
この提供されているソースによって、
結果も成果も達成できていると言っても過言ではありません。

極端な話、「すべて一人の自力」では成し得ないことなんですよ、
ということです。

 

これをわかったうえで、
会社のなかで、組織のなかで、仕事をするかしないかは、
心構えなど自分に返ってくるものは大きく変わってきます。

これをわかったうえで、
将来自分がどんな会社や組織のなかで成長していくのか?
それとも独立や起業を目指すのか?

「今」学べることがたくさんあることに気づきます。

 

会社にいるということは、
「ヒト」「モノ」「カネ」において、
個人よりも恵まれた環境にいるということ。

経営者とは、
リスクを背負うということ。

会社にいても、どんな立場でも、どんな組織でも、どんな環境でも、
『経営者の視点』、つまり、経営者を模擬体験することは可能です。

 

“そんなに会社がイヤなら、自分でなにかやればいい”
よく目にする、よく耳にする起業家たちの言葉です。

そこには、
“あなたがすべてのリスクや責任を負う覚悟があるならば”
という含み言葉があると思ったほうがいいです。

 

会社をうまく使う、恵まれたソースを最大限活用する。

そんな働き方や学び方もあるんだと思います。