昔読んだ小説で気に入っているフレーズ。
小説といってもほぼノンフィクションな内容だったような。
料理人のお話で、師匠と弟子との関係での考え方。
手塩にかけて育てた弟子ほど、
愛着のある弟子ほど手放したくないもの。
ずっと自分のそばにおいておきたい。近くで成長を見守りたい。
そんなときに、縛ってしまうのではなくて、
弟子が新しい道へ進もうとしたときには、
「大切な人ほど自由にしてあげなさい。解放してあげない。手放しなさい。」
「もし弟子があなたのことを慕っているならば、いつかきっと帰ってくるから。」
なかなか器の大きい人格だと思う。
目上の人からの目下の人への可愛がりや愛情って
時として束縛してしまっていることがある。
「おれがここまで育てたんだから」と自分色に染めたくなる。
助言しすぎたり、干渉しすぎたり、結果窮屈な思いをさせてしまうことも。
親と子の関係にも近いのかもしれない。
だからあえて、弟子のペースに合わせた接し方をしなさい、と。
もし共有した時間のなかに、
恩を感じ、尊敬の念があり、信頼があるならば、
どんな世界へ羽ばたいていっても、きっといつか戻ってくる。
それを信じてじっとこらえて待つことも目上の役割だと。
気になって頻繁に連絡したり聞き出そうとして
後輩や年下に煙たがれるよりも、
言いたくなったら言ってくるだろう、
会いたくなったら連絡してくるだろう、
くらいにどっしりかまえておく。
もちろんそうなってくれるように「聞く態勢」をつくっておくことは大切。
連絡しずらいなと思われたら元も子もない。
上司と部下、先輩と後輩、年上と年下。
上の方の人が思っている以上に、
下の方の人は距離を感じているもの。
どんだけ近づいても「年齢的・精神的・立場的」距離はある。
だからこそ、囲ってしまうのではなく解放してあげなさいと。
子供の頃を思い返しても誰しもそう思うはず。
押さえつけられるよりも、
自由にさせてもらって、尊重してもらえることが一番うれしい。
そしていつの日か「やりたいようにさせてもらってきた」という感謝が
親孝行へとなっていくのと同じように。