読書:「多眼思考~モノゴトの見方を変える300の言葉! ~」 ちきりん レビューVol.3

つづき。

前回までは、こちら。

読書:「多眼思考~モノゴトの見方を変える300の言葉! ~」 ちきりん レビューVol.1

読書:「多眼思考~モノゴトの見方を変える300の言葉! ~」 ちきりん レビューVol.2

 

6. ビジネス

「最近の若者はダメだ」と言っている中高年やシニアは、「自分が、最近のイケてる若者に相手にされていないだけ」ということに気がつかない。

「まともな学生が応募してこない」とか言ってる企業も同じ。まともな学生は、あなたの会社を選ばなくなってるだけです。

日本の根本的な問題は、富裕層への税率が高いことではなく、お金を稼ぐということへのリスペクトのなさだよ。

アマゾンが好きなのは、同じドライヤーでも色によって値段が違うことだよ。最初は驚いたけど、売れる色のが高く、売れない色を安くするのはマーケットとして当然。今まで、不人気色も人気色も同じ値段で売ってたほうが変だったのだと、あれで気がついた。

Twitterは圧倒的に「市場的」だよね。つまんなコト言うと誰も返事してこない。おもしろいこと言うと、RTが殺到する。FBだと何言っても反応のレベルはそんなに変わらない。反応数は、言った内容より友達の多さに左右されるから。

孫さんも三木谷さんも南場さんも、一代でプロ野球球団を保有できるレベルの会社を作りあげた。すばらしいよね。そして、今の日本はそういうことが可能な国であり時代であり環境なのだということも忘れちゃいけない、と思う。

この間、新聞社のお偉いさんに「最近は、ちきりんさんのような人から、”既存メディア”などと呼ばれている」と恨み節を聞かされた。その時初めて、「そうか、既存メディアって呼ばれるのは屈辱なんだ」と気がついた。

反対に、ブロガーとかにとっては「既存メディア」って呼ばれるのは、夢(てか、目標)なのかもしれないとか思ったり。

みんな「どうやって価格を下げるか」ばかり考えすぎ。考えるべきは「どうやったら高くても売れるか」だよ。コスト削減ばっかりやってて楽しいかな。

マーケティング、というか、「売る工夫」は大好きだけど、同時に「そんなもんどーでもいい」とも思ってる。価値のないものが工夫で売れたりはしない。

買い物って女性にとってはストレス発散手段として秀逸なんだけど、「解消できるストレスの量」って、「買ったモノの総額」ではなく「買ったモノの総数」に比例するんだよね。そこが100均の圧倒的に有利な点。

ちきりんの考えるブラック企業とは、優秀な若者を抱え込んで30年後には市場でまったく評価されない中高年のおっさんにしてしまう企業ですかね。

市場で評価され、誰かがあなたの作りだしたものに対して、自分の財布から、必死で稼いだ貴重なお金を払ってくれるということの意義を、みんなが実感すれば、組織も国も立ち直れる。「価値を出せばお金につながる」というサイクルをみんなが実感することが大事なんだよ。

 

7. ぐろーばりぜーしょん

個別の日本人で、世界で活躍できる人はいくらでも現れる。でも、日本企業が世界で勝つとか、日本が世界でトップとか、そういう概念はもう忘れたほうがいい。多国籍化しない企業がグローバルに勝てることはないし、生産者人口の減る国の国力が上がることはない。

自分の子供や孫を働かせたい!と思えるような職場が、日本に増えるように考える、というのが基本だと思うんだよね。

「人件費の安い国の人にサービスを提供してもらう」ことを「搾取だ」とか言う人って、日本の人件費が安い時代に、繊維製品や組み立て工業品をバンバン作って世界に輸出し、そうやって生活したり豊かになったことを、「あれは欧米に搾取されてた。ひどかった」とか思ってんのかしらね。

日本の大学も、少子化で生徒確保に必死だけど、これからは(留学生獲得とかだけじゃなくて)、アジアに付属校を作るとか、もっと海外にどんどん出ればいいんだよね。

あたしは、日本の専門学校もアジアで営業したらすごい人気なんじゃないのと思ってるんだよね。公文式だけじゃなく、日本の実務系の教育機関ってハイレベルだもん。現地化してコストさえ安くすればブランドも使えそうだし。

中国から日本に来た観光客って、常にお土産品を裏返して「メイドインチャイナ」って書いてないかどうか確認してるよね。

世界は才能を取り合ってるけど、日本は突出した才能のある人を逮捕したり、妬んで叩いたり、バカにしたりばっかしてるからなー。

ハーバード大の教授18人が日本を訪問していろんな企業(&起業家)を取材した感想、(1)思ったより起業家が育っている、(2)日本人は復興が得意、(3)組織の中にいる人で、活用されてない人がまだまだ多い、(4)グローバリゼーションが大きな課題。全部同意。一目見ればわかるってことなのね。

アマゾンやグーグルなどが租税回避をして税金を払ってないと怒る人が多いけど、彼らがそのお金を自社内で次の画期的な商品やサービスの開発に回すほうが、税金として政府に差し出して無駄に使われるより、よほど人類の未来のためになる。

自分の命が惜しくない人への対策は存在しない。彼らが希望のない世界(=命が惜しくない世界)から脱出できない限り、定期的にテロが起こる。

北朝鮮の崩壊を中国は全力で阻止しにくるだろう。鴨緑江沿いのあんな長い国境を接しているんだよ。泳いで渡れるほどの川の向こうが韓国になり、そこに在韓米軍が基地を造ってミサイルを並べることになるのは、中国にとって悪夢以外のなにものでもない。

ロシアが北方領土を返さないのも全く同じ理由。ロシアはあんな小さな島にたいして関心はない(資源なんて他でいくらでもでてます)。でも日本に返したら、翌年にはそこに米軍基地が造られ、ミサイルが配置される。それがヤだから絶対返さない。

世界は「都市間競争」に入ってるんです。国じゃなくて。

日本の競争力なんかより、メトロポリタン・トーキョーの競争力のほうが圧倒的に高い。日本が勝てなくても、東京は勝てる可能性が十分ある。

「日本の未来が暗い、絶望的だ」とか言ってる人って、いったいどこの国の未来が、日本の未来より明るいと思ってんのかな・・・。

「問題の量>実行力ある志」の場合、世界の問題は増え続け、「問題の量<実行力ある志」の場合、世界の問題は少しずつ改善します。今まで、人類の歴史はずっと後者だった。だから未来は明るいと思ってる。

 

多眼思考