読書:「続・風の帰る場所」 宮崎駿

「続・風の帰る場所」
映画監督・宮崎駿はいかに始まり、いかに幕を引いたのか

映画「崖の上のポニョ」から
映画「風立ちぬ」までの時期のインタビューを再編集。

それぞれ映画公開ごとに
ロングインタビューを雑誌「cut」で特集されていて
それを中心にまとめたもの。

この映画のこのシーンには、
そういう意図があったのか、とか読んでいておもしろい。

そして巻末に映画監督デビュー前、
「未来少年コナン」のころのインタビューも特別収録。

いろいろな意味で時代を感じるというか
その当時のアニメーションの制作環境などを
垣間見ることができる。

それにしても、一貫して筋が通っているというか、
若い頃のインタビューでも軸はぶれていない。

 

そしてこれを読みながらびっくりしたのが、
思っている以上にいろいろな作品に関わっているということ。

もちろん公式にじゃなかったり、
作品にはクレジットされていないものも多い。

でも当時はアニメーター同士のコネクションやで、
手伝う、手伝ってもらう、ということは多かったよう。

「フランダースの犬」
「じゃりン子チエ」
「ひみつのアッコちゃん」 etc

もちろん部分的な手伝いや、
第何話のみということもあるとのことで、
公式経歴にはふまえなくてもいいのだろうけれど、

ほんと作品名を聞いてもわかるくらい有名なものばかりで。

「ド根性ガエル」も開始前の作画(絵コンテ)は
頼まれたのもあり書いたらしい。

でも、あまりにも作風と違うということで、
スタッフから外れたらしい。

そんないろんな逸話が語られている。

しかも当時のインタビューなので、
かなり鮮明というか正確な記憶のなかで。

 

いわゆるミュージシャンでもそうだけれど、
スタジオ・ミュージシャンと言われる人など。

いろんな楽曲に、楽器参加している。
けれど、クレジットされることはあったりなかったり。

アートの世界ではこういうことは多いのだと思う。

特に無名時代や下積み時代とされるときは、
とにかく量をこなすことが勉強というか修行というか。

だから有名になれば、
「実はあの作品の◯◯は●●がやっていた」となるし、

そうでなければ、そういう話題も出てこない。

そういう世界なんだなあと改めて思う。

いくら宮崎駿マニアであっても、
おそらくクレジットされていない作品までも、
あさってチェックする人はごく稀だと思う。

ま、そこに宮崎駿のカラーがあるかないか、
ということに尽きるのか。

公式もしくは公表されているものは、
カラーが色濃く出ているだろうし、
お手伝い程度のものは、いちスタッフとして、ということだろう。

特に昔はアニメーションの世界は、
ほんと少ない精鋭たちで回していたことが、
よくわかる巻末インタビュー内容だった。

宮崎駿 続・風の帰る場所